科学と技術を雑学的に気まぐれに語るブログ 

科学と技術に関係したエッセイのようなもの

量子コンピューター

東京大学の光量子コンピューター

先日(2019年10月18日)、東京大学大学院工学系研究科が光量子コンピューターについての発表を行いましたので、その内容について簡単な解説を行いたいと思います。もちろん、学術的にはほんのさわり程度しか理解できていませんので、あれこれと不十分な点は…

IBMの53-Qubit量子コンピューター

先日、IBMが53-Qubit(53量子ビット)の量子コンピューターを発表しました。japan.cnet.com記事を読んでもわかりにくいかもしれませんが、翻訳のせいではなく、元の英語の記事も似たようなものでした。IBMのプレスリリースも貼っておきましょう。newsroom.ib…

「ムーアの法則」の量子コンピューター版は「ネーヴンの法則」?

コンピューターの性能向上に関する指標として有名なムーアの法則という、経験則というか予測というか、そういうモノがあります。 ja.wikipedia.org 「ムーアの法則はもう限界だ」的な事が言われ始めてから、多分10年以上経っていると思いますが、8コアだ28コ…

量子アニーリング方式の限界? NUMAがSMPにはなれない話に近いような…

本日、ITmediaに以下のような記事が載りました。 www.itmedia.co.jp 要するに量子アニーリング方式の量子コンピューターにはもう将来はない、という趣旨の内容です。 具体的に誰がどうと言わずに「海外は〜〜」というのは何やら出羽守っぽいのですが、主張の…

D-WAVEのクラウド「Leap」、日本でも利用が可能に

先日、D-WAVE Systemが量子コンピューター「D-WAVE 2000Q」にアクセスできるクラウドサービス「Leap」を発表しました。約17億円の量子コンピューターをクラウドで貸し出すD-WAVEの「Leap」、ついに日本でも正式公開jp.techcrunch.comD-WAVEの量子コンピュー…

量子ビットにおける0と1の重ね合わせ

「量子ビットとシュレディンガーの猫」で、量子ビットの特徴は「0か1か」ではなく「0と1の重ね合わせ」の状態である、という話をしました。今回は「0と1の重ね合わせ」について、もう少し詳しく見ていきましょう。古典ビット、すなわち数字の0と1では、(加…

「IBM Q System One」の発表について(アナリスト風に)

2019/1/8にIBMから量子コンピューター「IBM Q System One」が発表されました。 www.itmedia.co.jp 今日はこの発表について所感を述べたいと思います。 この記事には「世界初の商用統合ユニバーサル近似量子計算システム」という表現が使われていて、「ユニバ…

量子ビットの表現方法 ― ディラック先生ありがとう

前回は量子ビットについて、 量子ビットは 0 と 1 の重ね合わせの状態にある この重ね合わせによりデータの並列化が実現され、それが量子コンピューターの速さの理由である という説明をしました。「0 と 1 の重ね合わせの状態」についてしばしば誤解される…

量子ビットとシュレディンガーの猫

さて今回は量子ビットのお話。前回は、量子コンピューターが速い理由を「データの並列化」にあると説明しました。そして、その「データの並列化」のカラクリが量子ビットにあります。まずは用語の定義。量子コンピューターに対して普通のコンピューター(ス…

量子コンピューターはなぜ速いのか?

前回の最後に、「次回は量子ビットのお話を」と書いたのですが、よく考えてみたら、量子ビットの話の前に「量子コンピューターはなぜ速いのか?」という話をした方がよいと思い直しました。というわけで、今回は量子コンピューターの速さのカラクリを説明し…

量子コンピューターを簡単に説明できるか?

「量子コンピューターに関わる仕事がしたい」と思って数年経ちます。そもそも、量子コンピューターという存在を明確に意識したのが数年前ですから、意識してすぐに、その仕事をしたいと思ったのでした。量子コンピューターを売っている会社は量子コンピュー…