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D-WAVEのクラウド「Leap」、日本でも利用が可能に

先日、D-WAVE Systemが量子コンピューター「D-WAVE 2000Q」にアクセスできるクラウドサービス「Leap」を発表しました。

約17億円の量子コンピューターをクラウドで貸し出すD-WAVEの「Leap」、ついに日本でも正式公開jp.techcrunch.com

D-WAVEの量子コンピューターは「量子アニーリング方式」と呼ばれる方式で、これを使って解ける問題の種類が限定される代わりに、ハードウェアの実装が比較的易しいという特徴があります。

一方、IBMのQ System ONEは「量子ゲート方式」と呼ばれます。この方式は、古典コンピューターがNOTとかANDとかNORとかの基本的論理回路を組み合わせて作られているのと同様、基本的な量子演算回路を組み合わせて作られます。従って、より汎用的なアルゴリズムに対応可能なのですが、ハードウェアの実装が難しいという短所もあります。

結果として、「D-WAVE 2000Q」は名前の通り2000量子ビットの演算が可能なのですが、「IBM Q System ONE」は今の所20量子ビットということで、量子ビットの数ではD-WAVEの量子アニーリング方式ががIBMの量子ゲート方式を上回っています。

ところで、D-WAVE Systemのクラウドサービスの名前である「Leap」という単語ですが、これは量子力学的には特別な意味を持った単語です。「leap」の辞書的な意味は「跳躍」ですが、「Quantum Leap」とすると量子力学に特徴的な現象を表します。

「Quantum Leap」は「量子跳躍」と約されますが、その意味はWikipediaを御覧ください。

量子跳躍 - Wikipedia
ja.wikipedia.org

この量子跳躍の意味から派生して、「Quantum Leap」は「飛躍的進歩」を表す一般的な語彙としても使われています。

D-WAVEともIBMとも、量子コンピューターとも関係ないのですが、クオンタムリープ株式会社という会社が日本にございまして。

クオンタムリープ株式会社
qxl.jp

こちらのクオンタムリープ株式会社ですが、事業は量子コンピューターとも量子力学とも関係なく、「飛躍的進歩」を表す語を社名にしたものと思われます。

それはそれで良いのですが、会社概要を見たら、代表取締役 ファウンダー&CEOが元ソニー社長の出井伸之さんで驚きました。

特にオチはありません。