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サイレントギターの1弦問題(その後)【ギタリストのための音の科学 23】

サイレントギターをアンプに繋いだとき、「1弦の音だけが極端に小さい」という問題とその原因について、「サイレントギターの1弦問題(前編)」および「サイレントギターの1弦問題(後編)」で書きました。

 

要するに、1弦に張力の高い弦を使っていたために、圧電素子のピックアップでは1弦の音を十分に拾えなかったのが拾った音が小さい原因で、張力の低い1弦を使うことで問題が解決できました。

 

具体的には、それまで使っていたSAVAREZのALLIANCE HIGH TENSION(1弦の張力:9.1kg重)からAUGUSTINEのREGAL(7.7kg重)とHANNABACHのSuper Low Tension(7.5kg重)に代えて、自分の耳で聞いた感覚としては大きく改善されました。

 

ただし、張力の数字はメーカー公表値ではなく、現代ギターによる実測値です。メーカー公表値はメーカー間で測定条件が揃っているか否か不明ですし、非公表の弦もありますので、比較のためには現代ギターによる実測値を使いました。

 

でまあ、大きな音が出るようになってめでたしめでたしではあるのですが、世の中にはもっと張力の低い1弦も存在しておりまして、それに代えたらさらに良くなるのでは、などと考えるわけです。

 

全ての弦を調べた訳ではないですが、比較的簡単に手に入る弦で最も1弦の張力が低いのはおそらく、ProArte EJ43 Lightではないかと思います。

 

で、プロアルテのEJ43ライト(7.2kg重)も試してみました。これまた自分の耳の感覚でしかありませんが、更に改善されたように思います。当初のSAVAREZ ALLIANCE HIGH TENSION(9.1kg重)と比較すると、20%以上も張力下がっているので、かなり大きな違いと言えるでしょう。

 

現在、私のサイレントギターにはProArte EJ43 Lightのセットが張られています。つまり、1弦から6弦まで全てがEJ43 Lightです。そうすると、1弦だけではなく2弦も3弦も低張力になるので、2弦も3弦も大きな音が出て、相対的には1弦の音の大きさが目立たないかもしれません。

 

実際に弾いた感じでは、従来よりも大幅に改善はされているものの、1弦の音はもう少し大きくなって欲しいところです。そのために、2弦と3弦の張力を上げてしまおうと思います。

 

ProArte EJ43 Lightの2弦と3弦の張力はそれぞれ5.3kg重と5.4kg重ですが、AUGASTINE REGALの2弦と3弦はそれぞれ5.8kg重と5.7kg重です。あまり大きな違いはありませんが、多少の効果はあると思います。REGALは安いですし。

 

というわけで、次回からは高音弦は

  1. ProArte EJ43 Light 7.2kg重
  2. AUGUSTINE REGAL 5.8kg重
  3. AUGUSTINE REGAL 5.7kg重

の組み合わせで行こうと思います。今日、この組み合わせを3セット買ってきました。低音源はSAVALEZ CORUM HIGH TENSIONを3セット持っているので、それを使います。

 

生のギターに貼る弦については、音色を大きく左右するので、何年もあれこれ試して最善と思われる弦を選んでいますが、サイレントギターの弦は「どうせピックアップで拾う音出し、アンプでどうにでも出来るから、弦は何でもいい」とこれまでは思ってました。

 

ところが、ピックアップで拾う音が1弦だけ小さすぎるという想定外の出来事で、サイレントギターにも弦選びは重要であるという知見を得ることが出来ました。

 

悩んで考えて仮説を立てて弦を交換して音を出して、という一連の流れは、なかなか楽しい経験でした。