「ギタリストのための音の科学」を書いてみたい
私は趣味でクラシックギターを弾いています。本格的に初めてから10年以上経っていますが、残念ながら腕前は下手の横好きの域は出ていません。より上達するため、より楽しむために、ギター教室に通っています。
ギターを練習する際に教則本、雑誌、Web記事を読んだり、あるいは先生から直接アドバイスを頂いたりするわけですが、かねてからその内容について疑問に思うことが何回もありました。疑問というのは、ギターの音に関して言われている事柄について、それはどういう理由によるのだろうか、というものです。
私は大学で物理学を学んだので、音の性質や音を表す基本的な方程式については、ちょっとだけ知っていました(音響学などは学んでいません)。そのちょっとだけ知っている音の知識と、ギター界(?)で言われている原理原則が結びつかなかったのです。場合によっては、両者が相反しているように思えたこともありました。
クラシックギター(他のギターでもいいです)を弾く方ならおわかり頂けると思いますが、例えば、「ギターでは倍音はどの程度出ているのか、弾き方でそれは変化するのか?」「3弦はどうしてあんなにボソボソした音になるのか?」「アポヤンドとアルアイレの音の違いは、何に由来していて、科学的にはどう違っているのか?」などを考えるようになったのです。
というわけで、2年程前から、自分の知識を元に、あるいは世の中にある色々な情報を検索して、ギターの音に関係するあれこれを物理学的な原理原則と結びつける作業を始めました。やってみると、それは中々面白いことでして、自分自身新しい発見もあったりして、それでギターが上達するとは言いませんが、何らかのプラスにはなっていると思います。
そして、結び付けられたそれらは、ギタリストの方々が広く知っていてもよいことだと思われました。実際、私のギターの先生とは、その種の話はよくしますし、これまでの成果をまとめた資料をお見せして、ポジティブな感想を頂いたりもしています。
というわけで、このブログでその内容を公開していこう、ということです。
例えば、下記の2つのグラフを見て下さい。両者とも、私が私のギターを使って、5弦の開放を弾いた時の周波数分布です。
一見してわかるように、両者には明らかな違いがあります。
この違いの正体は何で、どういう理由でこの違いが生まれ、音としてはどう違って聞こえるのか、なんていう話をこれからしていくつもりです。
もちろん、その他にも上に書いたような疑問に対して、学術的には不十分であったとしても、誰にでもわかるような範囲で、なおかつギタリストにとって興味があると思われる内容で回答を提示したいとも考えています。
上のグラフのように、実際のギターの音を測定することでわかることもあります。弦の振動にまつわる基本的な事柄で、ギタリストが知っていた方が良いこともあります。
そんな内容になるであろう「ギタリストのための音の科学」のシリーズをよろしくお願い致します。
因みに、「ギタリストのための音の科学」の内容は私が個人的に考えたり測定したりした事が中心ですが、以下を参考文献としています。
また、場合によっては学術論文を参考にすることもありますが、それはその都度明示したいと思います。